医療支援業のM&A事例 【関東】

臨床研究支援を行う企業の譲渡を助言|S社さま

譲渡企業 S社さま
業種 医療支援業
事業内容 CRO(臨床研究支援)
売上 約1億8,000万円
地域 関東
設立 2009年
経営者の年齢
譲渡理由 親会社によるカーブアウト
譲受企業 K社さま
業種 医療支援業
事業内容 医療コンテンツ
売上 約100億円(連結)
地域 関東
設立 1996年
上場の有無 上場
譲受目的 臨床研究支援分野への進出

- 本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、S社の譲渡を決断されたきっかけについてお聞かせください。

S社は5年ほど前にM&Aで取得した会社でした。当初は、我々の主要事業とのシナジーを期待していたのですが、実際のところ、想定していたほどの相乗効果が見込めませんでした。そのため、出口戦略を検討し始めていたタイミングでした。

- なるほど。そのタイミングで、買収候補のC社との出会いがあったのですね。C社との初めての接点はどのようなものだったのでしょうか?

みつきコンサルティングがC社から依頼を受けたようで、いわゆるご指名での資本業務提案でした。そのため、みつきコンサルティングとの初回面談の際にも、C社と共同で作成した提携提案資料をもとに説明があり、当社との提携をなぜ希望しているのか、目的が非常に具体的だったのが印象に残っています。C社について、名前は以前から知っていました。C社が以前買収したY社が当社と同じ事業を営む会社から独立した会社で、かつ当社と同業だったためです。

C社の印象はいかがでしたか?

C社の医療関係や製薬関係のネットワークを考慮すると、我々が継続保有するよりも明らかに良い選択肢だと感じました。S社の従業員にとっても、より情報が入りやすくなり、魅力的な環境になるのではないかと思いました。また、C社から提示された譲渡条件も、私たちの期待に沿うものでした。

- 価格交渉の過程はスムーズでしたか?

はい、比較的スムーズでした。まず、みつきコンサルティングに株式価値算定を実施してもらいました。人員計画や契約例数などの実績から傾向分析を行い、それを踏まえ詳細な事業計画を策定したうえで、算定してくれました。以前に、参考情報として別の会社で株式価値の算定をしたことがあるのですが、そのときには事業計画などの作成はなく、算定結果も満足のいくものではなかったと記憶してます。

- トップ面談の様子はいかがでしたか?

C社の社長、経営企画室長とお会いし、C社の経営に関する考え方やグループ会社への方針、S社との提携を希望する理由、将来的な連携イメージなどについてお話を伺いました。業界が比較的近いこともあり、話ははずみ、和やかな雰囲気だったと思います。C社がとても従業員を大切にされていることも分かり、この会社であればS社を託しても大丈夫だと、このときに確信しました。

- デューデリジェンス(DD)の準備はどのように進められましたか?

当社がS社を譲り受けた際にもDDは実施しましたので、ある程度の業務負荷、時間がかかることは想定してました。今回は、みつきコンサルティングが事前に作成してくれた想定DDリストをもとにDD開始前から少しずつ資料を準備しておりましたので、それほど負担ではなかったです。同じ業界のM&Aを複数回担当したことがあるようで、確認されやすいポイントなどもだいたい把握できていたようです。

- 最終的なクロージングまでの過程はいかがでしたか?

DDが比較的スムーズに進みましたので、当初予定していたクロージングまで少し時間に余裕がありました。せっかくなので、この期間については、プレPMI(統合準備)に時間を使いました。グループ参加後に主に連携を取ることが予想されていたC社の関連会社からの事業に関する確認事項などへの対応など、細かい調整を行いました。この頃には、譲渡条件などSPA(株式譲渡契約書)の内容がほとんど確定していたこともあり、我々も協力的に対応できました。

- 従業員への説明はどのように行われましたか?

クロージング当日に従業員説明会をS社にて開催しました。C社の社長や連携を取る可能性が高いC社の関連会社であるY社の社長が来られて、従業員に直接挨拶していただきました。S社の従業員に期待することや今後の具体的な連携方法などについて、丁寧な説明がありました。Y社の社長は数年前にC社に参加しておりますので、自身の経験を踏まえて、現在の取り組みなどをお話ししていただきました。さらに、S社の社員から取締役に就任することになったキーパーソンからも今後の役割についての説明などがありました。従業員の反応もとても良好で、新しい環境に期待を寄せているようでした。

M&Aを成功に導くために、特に注意された点はありますか?

やはり、コミュニケーションを大切にしたことですね。譲受先であるC社とは、できる限り率直に情報交換を行い、互いの意図や期待を明確にしました。また、キーパーソンに対しても、適切なタイミングで情報を開示し、不安を払拭するよう努めました。みつきコンサルティングのアドバイスも大いに参考になりました。彼らの経験豊富なサポートのおかげで、複雑なプロセスを乗り越えることができたと感じています。

M&Aを検討する際に重要だと感じたポイントはありますか?

はい、いくつかあります。まず、自社の現状と将来性を客観的に分析することが重要です。S社の場合、当初期待していたシナジーが見込めなかったため、出口戦略を検討し始めました。これは、感情的な判断ではなく、冷静な分析に基づいた決断でした。

次に、適切なタイミングを見極めることも大切です。市場環境や自社の業績、後継者問題など、様々な要因を考慮して、最適なタイミングでM&Aを検討する必要があります。

また、信頼できるアドバイザーの存在も非常に重要です。今回、みつきコンサルティングのサポートがあったからこそ、複雑なプロセスを円滑に進めることができました。専門的な知識や経験を持つアドバイザーの助言は、このような局面において大きな支えになります。

M&Aを検討している他の中小企業オーナーに向けて、アドバイスをいただけますか?

もちろんです。まず、M&Aは単なる事業売却ではなく、新たな成長の機会だと捉えることが大切です。自社の強みを活かせる相手先を見つけることで、従業員にとっても、事業にとっても、より良い未来を築くチャンスになります。

次に、準備の重要性を強調したいです。今回のケースでは、事前にDD等の準備をしていたことで、非常にスムーズにクロージングまで進みました。早めに専門家に相談し、必要な資料を整理しておくことが重要だと思います。

最後に、感情的にならず、冷静に判断することを忘れないでください。長年育ててきた会社を手放すのは、心理的に大きな決断です。しかし、客観的な視点を持ち、会社と従業員の将来にとって最善の選択をすることが経営者としての責任です。

- 非常に貴重なお話をありがとうございます。最後に、これからM&Aを検討している経営者の方々へメッセージをお願いします。

M&Aは確かに大きな決断ですが、企業の成長や事業継続の有効な選択肢の一つだと考えています。重要なのは、自社の強みと弱みを客観的に分析し、シナジーを生み出せるパートナーを見つけることです。また、プロセス全体を通じて、従業員や取引先など、すべてのステークホルダーへの配慮を忘れないことも大切です。そして、信頼できるアドバイザーのサポートを受けることで、より円滑にプロセスを進められると思います。M&Aは終わりではなく、新たな始まりです。その先にある成長の機会を見据えて、前向きに取り組んでいただきたいと思います。今回のインタビューが、M&Aを検討している多くの経営者の方々の参考になることを願っています。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷伊丹 宏久 事業法人第二部長


ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。

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