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タイ|2025年ショッピング減税で最大5万バーツ控除

(日本語) 025年1月16日から2月28日まで、タイで個人所得税の控除が可能なショッピング減税が実施されます。最大50,000バーツの課税所得減額が可能で、経済刺激策として注目されています。対象商品や控除条件など、詳細をご紹介します。 2025年タイショッピング減税の概要 タイ政府は経済刺激策の一環として、2025年も個人所得税の控除が可能なショッピング減税を実施することになりました。この施策は、商品やサービスの消費を促進し、経済を活性化させることを目的としています。 購入対象期間と控除額 ショッピング減税の購入対象期間は、2025年1月16日から2月28日までの約1か月半で、最大50,000バーツの控除が可能となります。 控除対象となる商品とサービス ショッピング減税の対象となる商品やサービスは、大きく二つのカテゴリーに分けられます。 一般的な物品とサービス 最大30,000バーツまでの控除が可能な一般的な物品とサービス支払いが対象となります。 コミュニティ企業とOTOP商品 地域コミュニティの経済支援を目的として、コミュニティ企業やOTOP(一村一品運動)商品の購入に対しては、最大20,000バーツまでの控除が認められています。 対象外となる商品とサービス ただし、以下の商品やサービスは控除の対象外となりますので注意が必要です。 アルコール飲料(ビール、ワイン等) タバコ 自動車、オートバイ、船舶 ガソリンや車両用燃料 公共料金(水道、電気、電話、インターネット) 宿泊費 保険料 ショッピング減税の利用方法 E-Tax InvoiceとE-Receiptの重要性 ショッピング減税を利用するためには、商品やサービスを購入する際に、E-Tax InvoiceやE-Receiptを受け取る必要があります。これらの電子文書には、購入者の氏名やTAX ID番号等の納税者情報が記載されている必要があります。 個人情報の準備 商品やサービスの購入時に、納税者情報の記載や入力を求められることが多いため、ショッピング減税のための買い物に行く際は、個人情報の控えを持参することをおすすめします。これにより、スムーズに手続きを進めることができます。 ショッピング減税のメリットと注意点 消費者にとってのメリット この減税措置により、消費者は最大50,000バーツの課税所得減額が可能となります。これは、2026年1月から3月に行われる2025年度の個人所得税確定申告時に控除することができます。実質的な値引きとして機能するため、消費者の購買意欲を刺激する効果が期待されます。 企業にとってのメリット 小売業やサービス業を営む企業にとっては、この期間中に売上増加が見込めるメリットがあります。特に、OTOP商品や地域コミュニティー事業体の商品が対象となっているため、中小企業や地域経済の活性化にも寄与すると考えられます。 利用時の注意点 ショッピング減税を利用する際は、以下の点に注意が必要です。 対象期間を確認する:2025年1月16日から2月28日までの購入が対象となります。 対象商品を確認する:アルコール、タバコ、自動車など、対象外の商品があります。 適切な証憑を受け取る:E-Tax InvoiceやE-Receiptに、自分の氏名やTAX ID番号等の情報が正しく記載されているか確認しましょう。 控除上限を把握する:一般消費財で30,000バーツ、コミュニティ企業やOTOP商品で20,000バーツの上限があります。 確定申告時の手続きを忘れずに:2026年の確定申告時に、この控除を申請する必要があります。 まとめ 2025年のタイショッピング減税は、個人消費を促進し経済を刺激する重要な施策です。最大50,000バーツの課税所得減額が可能となり、消費者と企業の双方にメリットをもたらします。適切な利用のためには、対象期間や商品、必要な証憑などを十分に理解することが大切です。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|納税者番号とは何か、注意点を解説

(日本語) 納税者番号がタイ国民カード番号や会社登記番号に変更されます。2013年1月までの猶予期間や新旧番号の使用方法、税務手続きへの影響など、重要な情報をまとめてご紹介します。 納税者番号の概要 タイ国内で設立された法人は、会社設立登記時に商務省から13桁の番号が発行されます。これが納税者番号(Tax ID)と呼ばれるものになります。 以前は歳入国が発行した納税者番号を使用していたのですが、タイ政府は2012年2月1日、納税者番号の変更に関する新たな規定を公表し、個人の場合はタイ国民カード番号を使用し、法人は商務省から発行された会社登記番号を使用することになりました。 外国人の場合は、最初に納税する前に税務署で納税者番号を取得する必要があります。この番号は個人所得税の申告等に必要になるため、タイで就労する場合や申告する所得がある場合は納税者番号を取得する必要があります。 影響を受ける税金の種類 新納税者番号の変更は、以下の税金に関する手続きに反映させる必要があります: 所得税 源泉税 付加価値税(VAT) これらの税金に関する申告や納付において、納税者番号を使用することが求められます。 書類や請求書への反映 企業は、以下のような各種書類や取引関連文書に新しい納税者番号を反映させる必要があります: 請求書 領収書、タックスインボイス 税務申告書 源泉徴収票 その他の公式文書 請求書や領収書にも間違いなく記載する必要があり、取引相手が個人や法人でも変わりません。税務署類や各種公式文書などにも必要で、記載間違いがあると正式な税務署類としては認められませんので注意が必要です。 まとめ タイの納税者番号制度は、個人・法人双方に影響がある重要な制度になります。記載必要な書類や申告等、正確に間違いなく対応することが重要です。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|配当の決議から支払いまでの法的要件と実務

(日本語) タイの配当可能限度額について、法的要件や実務上の注意点を解説します。準備金の積立義務や源泉徴収の扱い、配当決議から支払いまでの流れなど、タイでの配当に関する重要な情報をまとめています。 タイの配当に関する法的枠組み タイにおける配当の実施には、いくつかの法的要件を満たす必要があります。これらの要件を理解し、適切に対応することで、法令順守と円滑な配当実施が可能となります。 配当決議の方法 タイの非公開会社では、配当の実施に際して株主総会の決議が必要となります。ただし、臨時配当の場合には取締役会の決議でも可能です。この決議方法の柔軟性により、会社の状況に応じた機動的な利益還元が可能となっています。 配当可能額の計算基準 タイでは、配当時点で利益剰余金がプラスの状態であれば、原則として配当が可能です。これは、当期が赤字であっても、累積の繰越利益剰余金残高がプラスであれば配当が可能であることを意味します。この規定により、一時的な業績悪化時でも、長期的な財務状況に基づいた配当政策の実施が可能となっています。 法定準備金の積立要件 タイ民商法典1202条に基づき、配当を行う際には法定準備金の積立が必要です。具体的には、以下の要件を満たすまで、配当の都度、利益の1/20(5%)を準備金として積み立てる必要があります。 登録資本の1/10の金額に達するまで 付属定款で定められた額に達するまで この法定準備金の積立は、会社の財務健全性を確保するための重要な要件となっています。 配当可能限度額の算出方法 配当可能限度額を正確に算出することは、適切な配当政策の実施と法令順守の両面で重要です。以下では、具体的な算出方法と注意点について説明します。 利益剰余金と現預金残高の確認 配当可能限度額の算出には、以下のステップが必要です: 決算日時点の利益剰余金の確認 配当実施時点での利益剰余金の確認 配当金額確定および現預金残高と今後の資金繰りの考慮 特に、実際の配当は現預金から行うため、単に会計上の利益剰余金だけでなく、実際の手元資金の状況も重要な判断要素となります。 準備金積立額の考慮 配当可能限度額を算出する際には、法定準備金の積立要件を考慮する必要があります。準備金へ繰り入れられるべき金額は、配当可能な金額から除外しなければなりません。 実務上、「利益」の定義が明確でないため、以下のいずれかの5%を準備金として積み立てるケースが多く見られます: 当期利益の5% 配当額の5% 未処分利益の5% 保守的なアプローチとして、資本金の10%を先に積み立てる企業もあります。 具体的な計算例 配当可能限度額の計算例を、以下の条件で示します: 資本金:1,000万THB(準備金積立要求上限額:100万THB) 利益剰余金:84万THB 準備金未積立の場合: 配当可能額:80万THB 準備金積立額:4万THB 準備金が100万THB(資本金の10%)積立済みの場合: 配当可能額:84万THB(全額配当可能) 準備金積立額:0THB 準備金が98万THB積立済みの場合: 配当可能額:82万THB 準備金積立額:2万THB これらの例から、準備金の積立状況が配当可能額に大きく影響することがわかります。 配当に関する税務上の取り扱い タイにおける配当の税務上の取り扱いは、配当を行う企業と受け取る株主の双方に影響を与えます。適切な税務処理を行うことで、効率的な利益還元が可能となります。 源泉徴収の適用 タイでは、配当に対して原則10%の源泉税が適用されます。例えば、配当額が100万THBの場合、10万THBをタイ歳入局へ申告・納税し、残りの90万THBを株主へ送金することになります。 ただし、以下の条件をすべて満たす場合には、配当に係る所得が免税となり、源泉税控除は必要ありません: 配当受領者がタイ国内の法人である 配当権利確定の前後6カ月間(前3か月、後3か月)、25%以上の議決権を保有 配当を受ける法人と支払う法人で相互に株式持ち合いをしていないこと 免税要件と益金不算入 配当を受け取る側の税務処理は、免税要件の適用有無により異なります: 免税要件に該当する国内法人株主: 受取配当金は法人税の確定申告において全額が益金不算入となります。 収益としてなかったものとして、所得を減じる調整(減算)を行います。 免税要件に該当しない国内法人株主: 受取配当金の50%のみが益金不算入となります。 源泉徴収された税額は、法人税から控除可能です。 個人株主(参考): 受取配当金は全額が課税対象となります。 源泉徴収された税額は、確定申告時に控除可能です。 これらの税務上の取り扱いを理解し、適切に対応することで、効率的な資金運用と適正な税務申告が可能となります。 配当実行時の実務上の注意点 配当の実行にあたっては、法的要件を満たすだけでなく、実務上のさまざまな注意点があります。これらを適切に処理することで、円滑な配当の実施が可能となります。 支払期限の遵守 タイでは、配当の支払いに関して厳格な期限が設けられています。具体的には、以下の期限内に配当の支払いを完了する必要があります: 株主総会決議の場合:決議から1か月以内 中間配当の場合(臨時株主総会または取締役会決議):決議から1か月以内 この期限を遵守することで、法令順守と株主への迅速な利益還元が実現できます。 銀行への提出書類 配当金の送金を行う際、取り次ぎ商業銀行によって要求される書類が異なる場合がありますが、一般的に以下の資料の提出を求められることがあります: 株主総会または取締役決議の配当決議議事録 株主名簿 登記簿謄本 その他銀行が求める書類 これらの書類を事前に準備しておくことで、円滑な送金手続きが可能となります。また、銀行によっては追加の書類や説明を求められる場合もあるため、余裕を持った対応が重要です。 まとめ タイにおける配当可能限度額の計算と実行には、法的要件の遵守と実務上の注意点への対応が求められます。利益剰余金の確認、準備金の積立、税務上の取り扱い、支払期限の遵守など、多岐にわたる事項に注意を払う必要があります。適切な対応により、法令順守と効率的な利益還元の両立が可能となります。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

デビットノートとクレジットノートの重要性と発行条件

(日本語) タイのデビットノートとクレジットノートについて、発行条件や記載事項、税務上の重要性を詳しく解説します。VATの申告修正に欠かせない書類の正しい使い方や注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 タックスインボイス タックスインボイス(Tax Invoice)は、タイでのビジネス取引において非常に重要な文書です。適切に記載されたタックスインボイスは、VAT(付加価値税)の税額控除の根拠となるため、その記載内容と訂正方法について正しく理解しておく必要があります。 タックスインボイスの必須記載事項 タイの歳入局法では、タックスインボイスに記載すべき項目が明確に定められています。以下の項目が不備なく記載されていない場合、VAT税額控除の対象外となります: わかりやすい位置に「タックスインボイス」と記載 登録事業者の名称、住所、納税者番号 物品またはサービスの購入者の名称、住所、事業所(本店/支店)、納税者番号 タックスインボイスのシリアルナンバー、および冊番号(もしあれば) 物品・サービスの詳細(名前、種類、数量、金額等) 物品・サービスの価格と明確に区別されたVAT税額 タックスインボイスの発行日 歳入局長が定めるその他事項 これらの項目を正確に記載することで、取引の透明性が確保され、税務申告の際のトラブルを回避することができます。 デビットノートとクレジットノートの概要 デビットノートとクレジットノートとは デビットノートとクレジットノートは、タイの商取引において重要な役割を果たす文書です。これらは、商品の金額やサービス料に変更が生じた場合に発行され、付加価値税(VAT)の申告を修正する際にも使用されます。 デビットノートは債権が増加した場合に発行され、一方でクレジットノートは債権が減少した場合に発行されます。これらの文書は、取引の透明性を確保し、正確な税務申告を行うために不可欠なツールとなっています。 発行が必要となるケース デビットノートやクレジットノートの発行が必要となるケースは、以下のような状況が考えられます: 商品の数量が当初の発注量より増加し、金額が上がる場合 納品された商品に不良品があり、金額が下がる場合 不良品を返品する場合 商品の品質問題により、売買契約をキャンセルする場合 その他、歳入局長が認めた理由がある場合 これらの状況において、適切にデビットノートやクレジットノートを発行することで、正確な取引記録を維持し、税務上の問題を回避することができます。 デビットノートとクレジットノートの発行条件 一度発行したタックスインボイスの訂正は原則として認められていません。しかし、デビットノート、クレジットノートを発行することにより修正することが可能です。デビットノートとクレジットノートを発行するには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件は、タイの税法に基づいて定められており、適切な税務管理を確保するために重要です。 VAT登録 デビットノートやクレジットノートはVATの修正にも使用されるため、そのためには発行する会社はVAT登録をしている必要があります。VAT登録は、タイでビジネスを行う上で重要な手続の一つであり、一定の売上高を超える企業に義務付けられています。 VAT登録会社であることは、税務当局に対して正式に認識された事業者であることを意味し、適切な税務管理の基盤となります。 Tax Invoiceの発行が前提 デビットノートやクレジットノートを発行して売買金額やVATを調整するためには、当初の売買時にTax Invoiceを発行していることが前提条件となります。Tax Invoiceは、取引の詳細を記録し、VATの計算基礎となる重要な文書です。 Tax Invoiceが適切に発行されていない場合、VAT計算の書類として使用することができません。このため、日々の取引においてTax Invoiceの正確な発行を心がけることが重要です。 商品金額やサービス料の変更 デビットノートやクレジットノートは、Tax Invoiceを発行した後に、商品金額やサービス料、およびそれに伴うVATに変更が生じた場合に発行されます。この変更は、取引の実態に即したものでなければなりません。 例えば、数量の増減、価格の修正、返品、キャンセルなどの理由により、当初のTax Invoiceの内容に変更が必要となった場合に、これらの文書が使用されます。 歳入局が認める発行理由 タイの歳入局は、デビットノートとクレジットノートの発行に関して、特定の理由を認めています。これらの理由に該当する場合は、正式にデビットノートやクレジットノートを発行することができます。 商品量の増加による金額上昇 発注した商品の数量が当初の予定より増加し、それに伴って金額が上がる場合、デビットノートの発行が認められます。これは、追加の商品供給に対する適切な課税を確保するためです。 例えば、100個の商品を注文したが、実際には120個納品された場合、追加の20個分についてデビットノートを発行することができます。 不良品による金額減少 納品された商品の中に不良品が含まれており、そのために金額が下がる場合、クレジットノートの発行が認められます。これは、実際に使用可能な商品の価値に基づいて適切に課税するためです。 不良品の発見は、納品時の検品や使用開始後の不具合の発見など、様々なタイミングで生じる可能性があります。そのような場合、速やかにクレジットノートを発行することが重要です。 返品や契約キャンセルの場合 商品が不良品であるために返品する場合や、商品の品質問題により売買契約をキャンセルする場合も、クレジットノートの発行が認められます。これらのケースでは、取引自体が無効となるか、大幅に変更されるため、税務上の調整が必要となります。 返品やキャンセルの手続きを行う際は、適切な文書化と共に、速やかにクレジットノートを発行することが求められます。これにより、正確な売上高の報告とVATの納付が可能となります。 デビットノートとクレジットノートの記載事項 デビットノートとクレジットノートを発行する際には、特定の情報を必ず記載する必要があります。これらの記載事項は、取引の透明性を確保し、税務当局による確認を容易にするために重要です。 必須記載情報 デビットノートとクレジットノートには、以下の情報を必ず記載しなければなりません: 「デビットノート」または「クレジットノート」という名称 自社および取引先の社名、住所、Tax ID デビットノートまたはクレジットノートの発行日 デビットノートまたはクレジットノートの発行理由 当初の売買時に発行したTax Invoiceの番号および以下の情報 a. Tax Invoiceに記載される金額 b. 変更する金額およびその差額 これらの情報を正確に記載することで、取引の変更内容を明確に示し、税務申告の際の根拠資料として使用することができます。 特に重要な記載事項 上記の必須記載事項の中でも、特に重要なのは以下の2点です: 当初のTax Invoiceの情報と変更内容 デビットノートまたはクレジットノート発行の理由 これらの情報は、取引の変更が適切な理由に基づいて行われたことを示す重要な証拠となります。税務調査の際にも、これらの情報が詳細に確認されることがあるため、正確かつ明確な記載が求められます。 まとめ タイでのビジネス展開において、デビットノートとクレジットノートの適切な発行と管理は非常に重要です。これらの文書は、取引内容の変更を正確に記録し、VAT申告の修正に不可欠な役割を果たします。発行条件や記載事項を理解し、歳入局が認める発行理由に基づいて適切に使用することで、税務上のリスクを軽減し、透明性の高い経営を行うことができます。また、タックスインボイスの正確な記載と適切な訂正手続きを遵守することで、VAT税額控除の対象から外れるリスクを回避できます。これらの文書の重要性を認識し、正確な運用を心がけることが、タイでの円滑なビジネス運営につながります。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|固定資産の会計・税務処理を徹底解説

(日本語) タイにおける固定資産の会計・税務処理について詳しく解説します。耐用年数の変更による利益改善方法や、廃棄・売却時の注意点、税法上の特徴など、実務に役立つ情報を提供します。 タイの固定資産に関する基本的な規定 タイにおける固定資産の会計・税務処理には、日本とは異なる特徴があります。これらの規定を正しく理解し、適切に対応することが、ビジネスを円滑に進める上で重要です。 固定資産の定義と計上基準 タイでは、固定資産の計上に関する明確な金額基準が設けられていません。これは日本の法人税法とは大きく異なる点です。 タイの税法上は、原則として1年以上使用する資産は全て固定資産として計上する必要があります。しかし、少額のものを全て固定資産計上していては実務が煩雑になりすぎるため、一定の金額基準を設けて費用処理する方法を採用していることが多いです。重要なのは、一度定めたルールを継続して適用することです。税務調査の際にも説明資料となるため、合理的な理由がない限り、基準を変更しないことが望ましいでしょう。 取得価額の算定方法 タイにおける固定資産の取得価額は購入代価に加えて、使用可能な状態になるまでにかかった下記のような不随費用が含まれます: 運送費 関税 据え付け費用 借入の金利(日本と異なる特徴的な点) その他取得のために要した費用 特に、借入の金利を取得価格に含める必要があることは、日本の会計実務とは異なる重要なポイントです。この点に注意して、適切に取得価額を算定することが求められます。 償却開始時期の特徴 タイにおける固定資産の償却開始時期は、日本とは異なる特徴があります: ・タイ:資産が使用可能になった時から償却開始 - 支払い時期に関係なく、資産が使用可能になった日から償却を開始します。設備の試運転(正常に作動するか検証、返品可能な状態)であれば償却の必要はありませんが、量産のための試運転であれば償却を開始する必要があると考えられます。 ・日本:資産を事業用に供した時から償却開始 この違いを認識し、適切なタイミングで償却を開始することが、正確な会計処理と税務申告につながります。 タイにおける固定資産の減価償却方法 タイでの固定資産の減価償却には、日本とは異なる特徴や注意点があります。適切な方法を選択し、正確に償却を行うことが重要です。 税法上認められる償却方法 タイの内国歳入法では、減価償却の方法について具体的な規定はありません。そのため、基本的には会計上の償却方法に従うことになります。実務上は定額法が採用されることが多いですが、一般に認められている減価償却方法(定額法、定率法、級数法)は、規定された償却率の上限を超過しない限り、いずれも採用できます。 これらの方法の中から、資産の性質や使用状況に応じて適切な方法を選択します。ただし、一度選択した方法は、歳入局長の変更の承認を得ない限り、継続して適用しなければなりません。 耐用年数の設定と変更 タイの税法では、固定資産の耐用年数について、以下のような規定があります: ・建物:20年以上 ・機械:5年以上 ・ソフトウェア・IT機器:3年以上 これらは最低限の年数であり、実際の使用可能期間に応じてより長い耐用年数を設定することができます。例えば、10年使用可能な機械装置であれば、5年ではなく10年の耐用年数で償却することが可能です。 途中で耐用年数を変更する場合は、事前に監査人と合意する必要があります。変更の目的(より実態に近づけるため等)や変更の説明、根拠資料の提供等で監査人が納得できるように話し合うことが重要です。 特別償却の適用条件 タイでは、特定の条件下で特別償却が認められています。主な対象は以下の通りです: 研究開発のための機械装置―取得時に40%で償却し、残りを年間最大20%の償却率で償却できる。 コンピューター機器、ソフトウェア―3会計期間で償却できる。 ・中小企業に適用される特別償却(土地を除く固定資産2億バーツ以下で、従業員200人以下) 機械装置―取得時に40%で償却し、残りを年間最大20%の償却率で償却できる。 コンピューター機器、ソフトウェア―取得時に40%で償却し、残りを3会計期間で償却できる。 工場建物―取得時に 25%で特別償却し、残りを年間最大 5%の償却率で償却することができる。 固定資産の廃棄・売却時の税務処理 固定資産の廃棄や売却を行う際には、タイ特有の税務上の注意点があります。適切な手続きを踏むことで、不要な税負担や税務リスクを回避できます。 廃棄時の手続きと注意点 固定資産を廃棄する際には、以下の手続きが必要です: 固定資産の破損状況を検査し、社内承認者がこれを承認する。 廃棄の30日前までに歳入局へ通知する。 経理部門、会計監査人が廃棄に立ち会い、監査人による廃棄証明を作成する。 この手続きを踏まずに廃棄すると、固定資産除却損の損金算入ができなくなります。既に償却が終わっている場合でも、簿価1THBについて損金算入ができなくなるため注意が必要です。 ただし、煩雑な手続きを避けたい場合は、以下の方法も考えられます: 固定資産を廃棄した上で、売却したとみなして売上VATを納付する。 固定資産除却損を損金不算入経費として処理する。 この方法であれば、税法上の煩雑な手続きを踏まずに廃棄を行うことが可能です。ただし、除却損の損金算入はできないため、税負担が増える可能性があります。 グループ会社への売却時の留意事項 グループ会社への固定資産売却時には、以下の点に注意が必要です: 市場価格での売却が求められます。 簿価での売却は、税務上のリスクがあります。 例えば、簿価1THBの償却済み資産を1THBで売却した場合、市場価格が5,000THBであれば、税務署から4,999THB相当を相手に寄付したとみなされる可能性があります。その場合、4,999THBの雑収入計上とその7%のVAT納付が求められるリスクがあります。 売却する際には売却金額について、できるだけ金額の妥当性を証明できる書類(第3者へ売却した場合の価格、スクラップ処分の価値相当額)を集めて説明することでリスクを抑えることができます。 みなしVAT納付の必要性 固定資産の廃棄時には、みなしVATの納付が必要になります。 中古販売が可能な資産の場合、「販売していれば得られたであろう収益」の7%について、みなしVATの納付が必要です。この納付は、PP30(VAT申告書)上で行います。 注意点として、みなしVAT納付では実際に販売先からVATを預かっていないため、自社の負担(PL費用計上)で納税することになります。また、VAT申告時に収益として計算されるため、法人税確定申告(PND50)とVAT申告書(PP30)上の売上に差が生じます。 この差額については、管理表(TAX reconciliation)を作成し、歳入局への説明ができるよう準備しておくことが望ましいでしょう。 固定資産管理における実務上の課題と対策 タイでの固定資産管理には、日本とは異なる実務上の課題があります。これらの課題に適切に対応することで、より効率的な資産管理と税務処理が可能になります。 少額固定資産の取り扱い タイでは、少額固定資産に関する明確な規定がなく、原則1バーツ以上で、かつ1年以上使用するものは全て固定資産として計上する必要があるため、原則通りに全て固定資産として計上すると実務が非常に煩雑になる問題があります。 この問題に対応するため、実務上は一定の金額基準を設けて、その金額以下の資産は費用処理することが一般的に行われています。一定の金額基準が少額であれば税務当局も指摘してこない傾向にありますが、税法で認められている方法ではないため、一定のリスクがあることを念頭に置いて対応する必要があります。 耐用年数変更による利益改善の手法 固定資産の耐用年数を適切に見直すことで、利益を改善できる可能性があります。以下のような手順で検討することが考えられます。 1.現在の償却状況を確認する。 「税法上の耐用年数」をそのまま使用していないか。 機械装置等の大型固定資産を保有しているか。 2.実際の使用可能期間を見直す。 例:10年使用可能な機械を5年で償却していないか。 3.耐用年数の変更を検討する。 変更により、年間の償却費負担が減少し、利益が増加する。 例:1,000万THBの機械を5年から10年償却に変更すると、年間100万THBの利益増(初年度から5年、10年の耐用年数を使用した場合の比較)。 4.監査法人と協議・合意する。 変更の目的は「税務の耐用年数ではなく、実際に使用可能な耐用年数へ変更し、決算を適正化するため」と説明。 変更後の耐用年数の根拠を提供。 この手法は、実態のビジネスを変えずに「決算処理を適正化」するだけで利益を捻出できる方法です。ただし、あくまでも実際の使用可能期間に基づいて変更を行うべきで、不適切な利益操作とならないよう注意が必要です。また、年度の償却費用は変わりますが、トータルの償却費用は変わりません。 システム対応と手動調整の必要性 耐用年数の変更や特殊な償却方法の採用により、以下のような実務上の課題が生じる可能性があります 会計システムや固定資産システムが耐用年数の途中変更をサポートしていない。 ERPなどの自動償却計算と実際の償却計算に差異が生じる。 これらの課題に対応するため、以下の方法を検討します: システムによる自動償却は継続する。 耐用年数変更による償却減少額を手動で計算し、会計上で調整する。 差異の管理表を作成し、定期的に確認・調整を行う。 これらの対応により手間が増えるため、償却費減少のメリットと比較して判断する必要があります。また、手動調整を行う場合は、計算ミスや漏れがないよう、十分な注意と定期的なチェック体制が必要です。 まとめ タイにおける固定資産の会計・税務処理には、日本とは異なる特徴や注意点があります。取得価額の算定、償却開始時期、耐用年数の設定など、様々な面で独自のルールがあります。特に、借入金利を取得価額に含める点や、明確な少額資産の基準がない点は注意が必要です。また、固定資産の廃棄や売却時には、適切な手続きとみなしVAT納付の検討が重要です。 耐用年数の変更による利益改善の手法は、実態に即した適正な会計処理を行うための有効な方法ですが、監査法人との合意や根拠の準備が不可欠です。システム対応と手動調整の必要性も考慮し、効率的な固定資産管理を目指しましょう。 これらの知識を活用し、タイでのビジネスにおける固定資産管理を適切に行うことで、税務リスクの低減と経営の最適化につながります。…

タイ|在庫差異の発生理由と対策

(日本語) タイでの在庫管理における課題と対策について解説します。在庫差異の発生理由を理解し、適切な管理方法を学ぶことで、会計上のリスクを軽減し、効率的な経営を実現できます。 在庫差異の基本概念 在庫差異を理解するには、まず「フロー」と「ストック」という2つの視点を把握することが重要です。会計上、在庫はほとんどの場合「ストック」として捉えられますが、在庫差異の発生理由を特定するためには「フロー」の観点が不可欠です。 フローとストックの視点 フローの視点では、在庫の動きを時間軸で捉えます。受注管理、購買管理、生産管理、出荷管理などのプロセスを通じて、在庫の増減を追跡します。一方、ストックの視点は、特定の時点での在庫の状態を表します。 在庫差異を正確に把握するためには、フローの金額的な評価が重要です。しかし、これには適切な管理システムが必要となります。多くの企業では、この「フローの金額的な評価」が適切に行われていないことが、在庫差異の主な原因となっています。 在庫評価方法 タイにおける在庫評価方法には、主に以下のようなものがあります: ・個別法 ・先入先出法 ・移動平均法 これらの方法は、公正と認められる評価方法として認められています。ただし、評価方法を変更する際には歳入局長官の承認が必要となります。 また、タイでは継続的な在庫管理が求められており、ストックカードを用いて在庫の受払い管理を行うことが必要です。 在庫差異の発生理由 在庫差異が発生する主な理由は、数量と金額の管理の不備、およびイレギュラーな状況への対応不足にあります。 数量と金額の管理 多くのタイの日系企業では、品番と数量の管理はできていますが、金額の管理、特に出庫時の金額評価が適切に行われていないことが多いです。 在庫の評価金額は、出荷された商品と期末在庫にどのように按分するかが重要です。ERPシステムを導入していれば、この部分は比較的容易に管理できますが、システムを導入していても在庫差異が発生する場合は、在庫管理フローのイレギュラーな部分を探る必要があります。 イレギュラーな状況 在庫差異を引き起こすイレギュラーな状況には、以下のようなものがあります: 所有権移転の有無の不明確さ 工程別管理の不備 これらの状況に適切に対応するためには、詳細な業務フロー(業務マニュアル)の作成が不可欠です。特にタイ人スタッフに任せきりにしている場合、モノがなくなったら「出荷」と捉えるなど、誤った認識による処理が行われる可能性があります。 在庫差異による影響 在庫差異は、会計上および税務上で重大な影響を及ぼす可能性があります。 会計上の影響 在庫差異は最終的に売上原価や棚卸減耗損として会計上で費用計上されます。これにより、企業の利益に直接的な影響を与えることになります。 税務上の影響 タイでは、棚卸減耗損(および売上に紐づかない売上原価)は税務上、損金不算入となります。つまり、在庫差異によって生じた損失を税務上の費用として認識することができず、結果として課税所得が増加する可能性があります。 さらに、棚卸減耗損に関しては、VATの課税対象取引となる可能性があり注意が必要です。税務当局は、減耗した在庫をみなし売上として扱い、VAT課税を行う可能性があります。すなわち、正当な理由がない不足在庫は、それらが販売されたものとみなされ、VAT課税対象取引となります。これは企業にとって予期せぬ税負担となる可能性があります。 適切な在庫管理の方法 在庫差異を最小限に抑え、適切な在庫管理を行うためには、システムの導入と業務フローの整備が重要です。 システム導入の重要性 ERPシステムの導入は、在庫管理の効率化と正確性の向上に大きく寄与します。システムを通じて以下の点を管理することが可能になります: リアルタイムの在庫状況の把握 自動的な在庫評価計算 ・在庫移動のトラッキング 警告システムによる異常検知 ただし、システム導入だけでは不十分で、適切な運用が伴わなければ効果を発揮しません。 業務フローの整備 適切な在庫管理のためには、以下のような業務フローの整備が必要です: 明確な在庫受入 払出プロセスの確立 定期的な実地棚卸の実施 在庫差異の即時調査と原因分析 適切な権限設定と職務分離 これらの業務フローを文書化し、全従業員に周知徹底することが重要です。特にタイでは、言語や文化の違いによる誤解を避けるため、詳細なマニュアルの作成が推奨されます。 棚卸資産の期末評価と減耗損 棚卸資産の適切な評価と減耗損の取り扱いは、在庫管理において重要な要素です。 期末評価の方法 タイでは、期末棚卸資産は低価法により評価することが求められています。これは、原価と時価(正味売却価額)のいずれか低い価額で評価する方法です。 正味売却価額は以下の計算式で求められます: 正味売却価額 = 見積売価 - 見積追加製造原価 - 見積販売経費 低価法による評価損は、通常、有税処理により引当金計上されます。翌期首には洗替処理が行われます。 棚卸減耗損の取扱い 棚卸減耗損は、自然な摩耗、盗難、過去の数え間違い、売上の計上漏れなど、様々な原因で発生する可能性があります。タイの税務上、棚卸減耗損は損金不算入とされ、法人税課税の対象となります。 これらの取り扱いは、企業にとって予期せぬ税負担となる可能性があるため、適切な在庫管理と正確な会計処理が極めて重要となります。 まとめ タイにおける在庫差異の発生理由と対策について解説しました。在庫差異は、フローとストックの視点の違い、不適切な金額管理、イレギュラーな状況への対応不足などから生じます。これらの差異は会計上および税務上で重大な影響を及ぼす可能性があるため、適切な管理が不可欠です。ERPシステムの導入や業務フローの整備、正確な期末評価と減耗損の処理を通じて、在庫差異のリスクを最小限に抑えることができます。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|借入金規制の概要と注意点

(日本語) タイでの資金調達方法として借入金を検討している企業向けに、主な規制と注意点を解説します。BOI申請企業や外国法人に適用される規制、税法上の取り扱いなど、重要なポイントをまとめています。 タイにおける借入金の位置づけと規制の概要 タイの多くの日系企業は現地の金融機関から資金調達を行うにはハードルが高く、資金繰りに苦慮するケースがあります。このような状況下で、資金を調達する主な方法として、資本金の増資と借入金の2つが挙げられます。 借入金は、増資と比較して以下のようなメリットがあります: 支払利息が損金算入できる ・親子ローンなどの形で資金調達が可能 しかし、借入金には一定の規制が設けられています。タイでは主に以下の3つの観点から借入金の上限額を考慮する必要があります: BOIによる規制 外国人事業法による規制 歳入法(税法)による規制 これらの規制は、企業の形態や出資構成によって適用される内容が異なります。以下、各規制の詳細について解説していきます。 BOI申請企業に適用される借入金規制 タイ投資委員会(BOI)の投資奨励を受けている企業には、特別な借入金規制が適用されます。 BOI申請企業の借入金上限 BOI申請企業は、以下の条件を満たす必要があります: 負債額(借入額)が資本金の3倍以下 この規制は、BOI奨励企業の財務健全性を確保し、過度な借入を防ぐことを目的としています。 規制の対象となる企業 BOI奨励を受けているすべての企業が対象となります。業種や出資構成に関わらず、この規制を遵守する必要があります。 外国法人に対する借入金規制 タイでは、外国人事業法及び関連法規により、外国法人に対して特別な借入金規制が設けられています。 外国法人の定義と借入金上限 外国法人の定義: ・外国法人 ・外国籍者による出資が51%以上の法人 借入金上限: ・負債額(借入額)が資本金の7倍以下 この規制は、外国資本による過度な影響力を抑制し、タイ国内の経済安定性を維持することを目的としています。 規制の適用範囲と注意点 この規制は、タイ国内で事業を行うすべての外国法人に適用されます。ただし、BOI奨励企業の場合は、より厳しいBOIの規制が優先して適用されることに注意が必要です。 タイの税法における借入金の取り扱い タイの歳入法(税法)では、借入金に関して特別な規制は設けられていません。 過小資本税制の不在 タイには、過小資本税制が存在しません。過小資本税制とは、一定基準を超える支払利息を損金不算入とする制度です。 税務上の留意点 借入金にかかる支払利息は、原則として全額損金算入が可能です。これにより、親子ローンなどの形での資金調達が税務上有利となる場合があります。 ただし、税務調査の際に、借入の経済合理性や利率の適正性について質問を受ける可能性があるため、借入の目的や条件を適切に文書化しておくことが重要です。また、日本から親子ローンを受ける場合、市場金利よりも低い利率を設定した場合、日本の税務当局に利息分を寄付金とされる可能性もありますので、日本の税理士とも相談が必要です。 借入金規制が適用されないケースと実例 一定の条件を満たす企業では、借入金に対する規制がほとんど適用されないケースがあります。 規制が適用されない企業の特徴 以下の条件を全て満たす企業は、借入金規制の適用を受けません: サービス業または販売業などで51%以上がタイ資本 ・BOI奨励を受けていない 実例:高額の親子ローン 規制が適用されない企業では、資本金の10倍以上の借入金(親子ローン)を行っている事例も見られます。これは、タイの法規制上は問題ありませんが、財務の健全性や経営リスクの観点から慎重に検討する必要があります。 まとめ タイにおける借入金規制は、企業の形態や出資構成によって大きく異なります。BOI申請企業や外国法人には厳格な規制が適用される一方、一定の条件を満たす企業では規制がほとんど適用されません。資金調達の際は、自社の状況に応じた最適な方法を選択することが重要です。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|会計制度の基本と企業向け会計基準を解説

(日本語) タイの会計制度と企業向け会計基準について詳しく解説します。非上場企業と上場企業で適用される基準の違いや、会計担当者に必要な資格、記帳ルールなど、タイで事業を行う上で押さえておくべき会計の基礎知識をわかりやすくまとめています。 タイの会計制度の概要 タイの会計制度は、国際的な基準に合わせる形で近年大きく変化しています。かつては米国会計基準をベースとしていましたが、現在は国際会計基準(IFRS)に準拠する形で整備されています。タイの企業がどの会計基準を適用すべきかを理解することは、正確な財務報告と法令遵守のために非常に重要です。 タイ会計基準(TAS)の種類 タイ会計基準(TAS)は、企業の性質によって2つの基準に分かれています。 TFRS for NPAEs(Non-Publicly Accountable Entities):非上場企業向け TFRS for PAEs(Publicly Accountable Entities):上場企業向け これらの基準は、企業の公的説明責任の有無によって適用が分かれています。 TFRS for NPAEsとTFRS for PAEsの違い TFRS for NPAEsとTFRS for PAEsの主な違いは以下の通りです: TFRS for NPAEs:タイ独自の会計基準で、非上場企業の実務的負担を考慮して簡略化されています。 TFRS for PAEs:主要なIFRS基準にほぼ準拠しており、より詳細な財務報告が求められます。 多くの在タイ日系企業は、TFRS for NPAEsを適用しています。ただし、TFRS for PAEsを適用することも可能ですが、内容が多岐にわたるため、あえて採用するメリットは少ないのが現状です。 非上場企業向け会計基準:TFRS for NPAEs TFRS for NPAEsの特徴 TFRS for NPAEsは、タイ独自の会計基準として、全28章から構成されています。この基準の主な特徴は以下の通りです: 継続企業の前提と発生主義会計をベースとしています。 非上場企業の実務的負担を考慮し、複雑な項目への言及を省いています。 税効果会計、従業員給付、デリバティブ等の複雑な項目については言及していません。 TFRS for NPAEsで作成が求められる財務諸表 TFRS for NPAEsを適用する企業は、タイの会社法に基づき、以下の財務諸表を最低年1回作成する必要があります: 財務状態計算書 損益計算書 株主持分変動計算書 財務諸表の注記 一方、以下の財務諸表は作成が義務付けられていません: 包括利益計算書 キャッシュ・フロー計算書(TAS第7号の任意適用が可能) 連結財務諸表(TAS第27号の任意適用が可能) 関連当事者についての開示(TAS第24号の任意適用が可能) 税効果会計(TAS第12号の任意適用が可能) デリバティブ取引 機能通貨 これらの任意適用可能な項目については、企業の判断で適用するかどうかを決定できます。 上場企業向け会計基準:TFRS for PAEs TFRS for PAEsの適用対象企業 TFRS for PAEsは、公的説明責任を有する企業、つまり上場企業向けの基準です。以下の要件を満たす企業がPAEsとなります: 負債証券または株式が公開市場で取引されている企業 公開市場での金融商品発行を目的に財務諸表を証券委員会等に登記している企業 金融機関、保険会社、信託、投資信託等、特定の法令に従い公的資産に関する事業を行う企業 公開企業法に規定された公開企業 その他通知された法人 TFRS for PAEsの特徴 TFRS for PAEsの主な特徴は以下の通りです: ほぼ主要なIFRS基準に準拠しています。 より詳細かつ複雑な財務報告が求められます。 国際的な比較可能性が高い財務諸表を作成できます。 税効果会計、従業員給付、デリバティブ等の複雑な項目についても詳細な規定があります。 TFRS for PAEsを適用する企業は、より高度な会計知識と専門的なスキルが必要となります。そのため、多くの企業は外部の会計専門家や監査法人のサポートを受けながら財務報告を行っています。 タイの会計担当者に求められる資格 CPDライセンスの概要 タイでは、会計法上のルールにより、会計責任者には資格(CPDライセンス)が必要です。CPDライセンスは、Continuing Professional…

タイ|日本人の個人所得税還付手続き完全ガイド

(日本語) タイで働く日本人の個人所得税還付手続きについて、申告方法から小切手受け取りまでの流れを詳しく解説します。帰任時の注意点や会社での処理方法も含め、還付手続きの全てがわかります。 タイにおける個人所得税還付の概要 タイで働く日本人が個人所得税の還付を受けるためには、適切な手続きを踏む必要があります。この手続きは、主に申告と還付金の受け取りの2段階に分かれています。 還付手続きの流れ 個人所得税の申告:インターネットまたは歳入局窓口で行います 必要書類を提出し、還付額を計算します 還付にかかる調査:歳入局が申告内容を確認します 調査期間は案件により異なる場合があります 還付通知書と小切手の発行: 調査完了後、歳入局が書類を郵送します 還付通知書と小切手の受け取り 歳入局から郵送される書類は以下の2点です: 個人所得税還付通知書(Kor.21) 還付金額が記載された小切手 注意点として、還付通知書が届かない場合があります。その際は、管轄の歳入局に連絡し、書類の再送を依頼することが可能です。 また、歳入局(税務署)に登録されている個人住所を会社の住所に変更することで、還付通知書と小切手を会社で受け取ることができます。これは、特に帰任が決まっている場合に有用な方法です。 還付申告の方法と注意点 タイでの個人所得税還付の申告方法には、主にインターネットと歳入局窓口の2つがあります。それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。 インターネットでの申告 インターネットでの申告は、以下の利点があります: 時間や場所を問わず申告可能 書類の郵送や窓口での待ち時間が不要 申告内容の修正が比較的容易 ただし、オンラインシステムの操作に慣れていない場合や、複雑な申告内容の場合は、窓口での申告を選択することも検討しましょう。 歳入局窓口での申告 歳入局窓口での申告は、以下のような場合に適しています: 初めて還付申告を行う場合 申告内容に不明点がある場合 直接担当者に質問したい事項がある場合 窓口での申告時は、必要書類を全て準備し、混雑時期を避けて訪問することをおすすめします。 帰任時の還付手続きにおける留意事項 タイでの勤務が年の途中で終了し、帰任することになった場合、還付手続きには特別な注意が必要です。 源泉徴収額の調整と還付 タイの個人所得税の計算は、年間に受け取る所得から所得税を計算し、毎月源泉徴収されて納税します。そのため、通年タイに滞在する予定で毎月源泉徴収を行っていた場合、年の途中での帰任により過剰な源泉徴収が発生する可能性があります。この場合、以下の点に注意が必要です: 帰任日までのタイで申告必要な給与で源泉徴収額の調整を行う 調整しきれない場合は還付申告を行う 還付書類の受け取り場所の指定 帰任のタイミングによっては、還付時に既に日本に帰国している可能性があります。そのため、還付書類の受け取り場所には特に注意が必要です。 会社住所への変更: 歳入局に登録されている個人住所を会社住所に変更 会社で還付通知書と小切手を受け取ることが可能 委任状の準備: 必要に応じて、会社や信頼できる人物に還付書類の受け取りを委任 これらの対策を講じることで、帰任後も確実に還付金を受け取ることができます。 会社での還付金の処理方法 還付金を受け取った後の処理方法は、会社がタイでの税金をどのように負担していたかによって異なります。 会社負担の場合の処理 税金を全額または一部会社が負担していた場合: 会社の費用の戻りとして処理 会社の会計上、還付金を収入として計上 この場合、還付金は個人の所得とはならず、会社の収入として処理されます。 個人負担の場合の処理 税金を全額個人が負担していた場合: 会社で仮受計上 個人に還付金を支払い、精算 この場合、還付金は個人の所得となり、個人が受け取ることになります。ただし、会社を通じて還付金を受け取る場合は、一時的に会社で仮受計上した後、個人に支払われます。 まとめ タイにおける日本人の個人所得税還付手続きは、申告から還付金の受け取りまで、いくつかのステップを踏む必要があります。特に帰任時には、還付書類の受け取り場所や源泉徴収額の調整に注意が必要です。また、還付金の処理方法は、会社の税金負担の方針によって異なるため、自身の状況を正確に把握することが重要です。適切な手続きを行うことで、確実に還付金を受け取ることができます。 みつきタイでは、新規進出から会計税務、労務、M&Aまでを一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAがお客様の悩みや課題に耳を傾け、最適な解決策をご提案しております。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。

タイ|源泉所得税の仕組みと対象取引

(日本語) タイの源泉所得税について、その仕組みや対象となる取引、税率などを詳しく解説します。日本との違いや注意点、正しい処理方法についても触れ、タイでビジネスを展開する上で欠かせない知識をお伝えします タイの源泉所得税とは タイで事業を行う上で、源泉所得税に関わる取引は必ず発生すると言っても過言ではありません。源泉所得税は、源泉徴収制度により徴収される税金のことを指します。 源泉徴収制度の概要 源泉徴収制度とは、所得税の徴収制度の一つであり、給与や報酬などの所得の支払者が、所定の方法により所得税を計算し、支払い時に受取人に代わって所得税を差し引き、税務当局に納付する制度になります。 この制度は、給与の支払いにも適用されます。会社が従業員に給与を支給する際、その給与の金額から源泉所得税額を計算し、支給金額から控除して歳入局に納付します。 源泉徴収税は、給与や配当、広告料、利子、ロイヤリティ、サービス料など、さまざまな種類の所得に対して適用されますので、支払者はどの種類に該当するのかを確認して、それぞれの源泉税率に応じて源泉徴収および納付する義務があります。タイでは源泉徴収税が企業や個人にとって非常に一般的な存在です。適正な税務処理を行うためには、この制度を正しく理解し、適用される税率や納付手続きを把握しておくことが必要不可欠です。 源泉所得税が必要な理由 源泉徴収制度が存在する主な理由は以下の通りです: 確実な税金徴収:個人が確定申告を怠った場合でも、国が確実に税金を徴収できます。 納税の平準化:毎月の給与から税金を徴収することで、年度末の一括納税による負担を軽減します。 徴税コストの削減:国が直接徴収するよりも、企業を通じて徴収することでコストを抑えられます。 ただし、企業側にとっては源泉徴収の手間がかかり、源泉徴収および納付を怠った場合にはペナルティが課されるため、注意が必要です。 源泉徴収が必要な主な取引 タイでは、国内のほとんどのサービス取引および外国法人への支払いに源泉徴収が適用されます。主な取引について支払いを受ける者ごとに見ていきましょう。 タイ国内の個人への支払い タイ国内の個人に対する以下の支払いには源泉徴収が必要です: 給与、退職金等  役員報酬 配当金 請負代金 サービス料 利息 賃貸収入 その他の所得 タイ国内の法人への支払い タイ国内の法人に対する以下の支払いには源泉徴収が適用されます: サービス料 ロイヤリティ 利子 配当金 広告料金 コミッション 賃貸収入 外国法人への支払い 外国法人に対する以下の支払いには源泉徴収が必要です: 配当 利子 ロイヤリティ 人的役務サービス料 専門的サービス料 株式売却益 賃貸収入 日本とタイの違い 日本とタイの源泉徴収制度には、いくつかの違いがあります: 対象取引の範囲:タイの方が広範囲で、ほとんどのサービス取引が対象となります。 法人間取引:日本では主に個人事業主への一定のサービスに対して源泉徴収が行われますが、タイでは内国法人および個人へのサービスに対して広く源泉徴収が適用されます。 納付期限:タイでは支払いが行われた月の翌月7日まで、日本では原則として翌月10日までとなっています。 これらの違いを理解し、適切に対応することが重要です。 源泉所得税の税率 タイの源泉所得税の税率は、取引の種類や支払先によって異なります。主な取引の税率を国内取引と国外取引に分けて見ていきましょう。 国内取引の税率 タイ国内での主な取引に適用される源泉所得税の税率は以下の通りです: 配当:10% 利子:1% 広告料:2% サービス:3% コミッション:3% ロイヤリティ:3% 賃貸料:5% これらの税率は、タイ国内の個人や法人との取引に適用されます。 国外取引の税率 外国法人との取引に適用される源泉所得税の税率は以下の通りです: 配当:10% 利子:15% ロイヤリティ:15% 賃貸料:15% 株式売却益:15% 人的役務提供サービス:15%(日タイ租税条約が適用される場合0%、PEなければ課税なし) 日本とタイの間には租税条約が締結されています。租税条約とは、国と国の間で課税権の及ぶ範囲を定め、二重課税の排除及び租税回避の防止策を目的として締結された条約です。租税条約と国内法の規定が異なる場合には、租税条約が優先して適用されます。従いまして、租税条約および国内法の両方の税率を見て判断する必要があります。専門的な判断が必要な場合もありますので、迷ったときは専門家に相談されることをお勧めします。 源泉所得税の計算と納付方法 源泉所得税の正しい計算と適切な納付は、タイでビジネスを行う上で非常に重要です。具体的な計算方法と納付手続きについて見ていきましょう。 計算方法の具体例 例えば、A社がB社からサービス(源泉徴収対象)を受け、10,000バーツの報酬と700バーツのVAT(7%)の請求書を受け取った場合、以下のように計算します: サービスにかかる源泉徴収税額:10,000バーツ × 3% = 300バーツ B社への支払額:10,000バーツ - 300バーツ + 700バーツ = 10,400バーツ 税務当局への納付額:300バーツ A社は10,400バーツをB社に支払い、300バーツを源泉徴収税として税務当局に納付します。 納付期限と手続き タイでは、源泉所得税の納付期限は以下の通りです: 納付期限:支払いが行われた月の翌月7日まで 申告・納付先:歳入局(税務署) 納付を怠った場合、ペナルティ(延滞税、不納付加算税など)が課される可能性があるため、期限を厳守することが重要です。また、どのような取引が源泉徴収の対象になるかを判断するのも、慣れていない人にとっては難しいこともあります。正確な計算と適切な処理を行うために、タイ人の経理担当者や会計事務所のアドバイスを受けることをお勧めします。 利益還流時の源泉所得税 タイで事業を行う日系企業が、利益を日本の親会社に還流する場合や、タイ国内のパートナーに利益を配分する場合、源泉所得税の取り扱いに注意が必要です。 配当での還流時の税率 配当を通じて利益を還流する場合の源泉所得税率は以下の通りです: タイ法人から日本の親会社への配当:10% タイ法人からタイのパートナーへの配当:10%…